Monthly Archives: 11月 2018

ISO45001「箇条4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定」について

ISO45001における「箇条4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定」では、労働安全衛生マネジメントシステムに影響を及ぼす活動・製品・及びサービスなどの適用範囲を定め、文書化した情報として保有しておく必要を規定したものです。
今回はこの「箇条4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定」について詳しくご説明しましょう。

箇条「箇条4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定」は、OHSAS18001:2007において4.1一般要求事項の一部に該当する内容です。付属書SL(Annex SL)の採用によって追加された要求事項でもあり、労働安全衛生マネジメントシステムが適用される境界及び適用可能性を決定することを要求しています。では、具体的な条文を見てみましょう。

※『』内は条文の引用
『4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定しなければならない。
この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を行わなければならない。
a) 4.1 に規定する外部及び内部の課題を考慮する。
b) 4.2 に規定する要求事項を考慮に入れる。
c) 労働に関連する,計画又は実行した活動を考慮に入れる。
労働安全衛生マネジメントシステムは,組織の管理下又は影響下にあり,組織の労働安全衛生パフォーマンスに影響を与え得る活動,製品及びサービスを含んでいなければならない。
労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にしておかなければならない。』

ここでのポイントは2つあります。まず、労働安全衛生マネジメントシステムを適用する境界線をどのように定めるかということ、次に文書化した情報にして保存するということです。
適用範囲についてですが、規格要求事項には以下のように定められています。
『自社の管理下または影響下にある、自社の労働安全衛生(OH&S)パフォーマンスに影響を与え得る活動、製品及びサービスを含むこと』
これはつまり、どのように組織上の境界線を選択するかということになります。
これには、組織の状況についての知識が問われます。箇条4.1や4.2で組織の状況や利害関係者のニーズや期待について細かく規定していますが、そこでの内容をこの段階で反映させる必要があるということです。
社内だけでなく、社外の利害関係者に対しても誤解を招かないような適用範囲の設定および記述が求められます。
また、文書化した情報として管理するという点については、他のISO規格と同様に常に閲覧可能な状態にしておくことを意味します。一部の管理者だけが閲覧できる状態ではダメだということです。

「箇条4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定」において労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲を規定した後は、次の「箇条4.4 労働安全衛生マネジメントシステム」においてPDCAサイクルを確立し運用する流れとなります。次回は『5.1リーダーシップ及びコミットメント』について解説いたします。

HACCPの7原則とは何か?~重要管理点の設定~

HACCPの7原則とは➀ハザード分析②重要管理点の設定③管理基準の設定④モニタリング方法の設定⑤修正処置の設定⑥検証方法の設定⑦記録の維持管理です。それぞれの原則の内容を正確に理解し、HACCPの導入・管理に活かさなければなりません。
前回、②の重要管理点の設定において3つの要件を提示いたしました。今回はその次の段階となる③管理基準の設定について詳しくご説明いたします。

そもそも管理基準の設定は何のために行うものでしょうか。
管理基準とは重要管理点(CCP)を管理するために「守らなければならない基準」を定めることです。すべての重要管理点について管理基準は最低1つ設定され、その基準に基づいて管理されることとなります。
つまり、重要管理点における「ハザード」とは何かを設定し、ハザードを起こさないように管理するための基準を設定するのがこの「③管理基準の設定」となります。
具体的な事例を挙げてご説明しましょう。

冷凍餃子の製造工程における加熱調理プロセスにおいて、加熱温度と加熱時間が重要管理点(CCP)に設定されている場合、「中心部を80度以上で2分間以上」加熱すると定めることが管理基準の設定になります。
従って、実際の作業工程においては、サーモセンサーなどで加熱温度を監視し、基準を下回るような場合(=加熱不足)には重大なハザード(=食中毒など)を引き起こす恐れ場合があるとして、該当の餃子を不良品として処分するといった対応を定めることとなります。

管理基準の設定においては、重要となる2つの要件があります。

1)科学的な根拠に裏付けされた基準であること
先程の餃子の例を挙げると、加熱によって有害微生物が確実に死滅するもしくは許容できる基準以下になることが絶対条件です。食品衛生法では、加熱食肉製品の加熱条件は63度で30分に相当することと定められているため、この基準をクリアしているかも条件となります。
2)適切なモニタリングが可能であること
管理基準は極力リアルタイムで、かつ連続して行われることが条件です。いくつかを抜き出して調査するいわゆる「サンプル調査」では基準を満たしていることにはなりません。
従って、「食品中の微生物数」といった連続測定が実質的に不可能な数値を管理基準に設定することはできません。時間や温度、圧力、粘度など、連続的に計測できる物理的数値や酸度、塩分濃度といった科学的数値を用いることとなるでしょう。

ただし、管理基準の設定はあくまでもHACCPに基づく基準であり、実際の作業工程における基準とは仮が生じてしまいます。
先程の餃子の例を挙げると、HACCPでは「中心部を80度以上で2分間以上」加熱することでハザードを防ぐことが可能という具合に管理基準を設定したとします。しかし、実際の作業工程においては過加熱も問題にしなければなりません。過加熱により味や外見に影響を及ぼし商品として出荷することができない状態になることがあるからです。
管理基準の設定により食中毒などの事故を防ぐことはできても、製品クオリティを担保することはできません。過加熱などのような作業限界という考え方はHACCPには無いため、実際の作業現場においては管理基準以外にも適切なモニタリングを行うことが必要となってきます。
次回はこのモニタリングについて詳しくご説明いたします。

Category: ISO