ISO45001「箇条4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」について

2018年10月17日

ISO45001における「4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」においては、労働安全衛生マネジメントシステムを確立する上で考慮しなければならない利害関係者や、その利害関係者の要求事項を把握し管理しなければならないと定めています。

そこで今回は「4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」について詳しくご説明しましょう。

箇条「4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」は、前身となるOHSAS18001:2007には記載のなかった内容です。ISO45001になって初めて登場した概念であり、他ISO規格と同様にマネジメントシステムを確立する上での基本的理念にもなる考え方です。

では具体的な条文を見てみましょう。

※『』内は条文の引用

『4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解

組織は,次の事項を決定しなければならない。

a) 働く人に加えて,労働安全衛生マネジメントシステムに関連するその他の利害関係者

b) 働く人及びその他の利害関係者の,関連するニーズ及び期待(すなわち,要求事項)

c) それらのニーズ及び期待のうち,いずれが法的要求事項及びその他の要求事項であり,又は要求事項になる可能性があるか』

短い文章なのでわかりやすいですが、要は利害関係者を定め、そのニーズをマネジメントシステムに反映させなければならないということです。

まず、利害関係者とは何なのかについてご説明します。労働安全衛生に関する利害関係者とは、自社の顧客やエンドユーザー、監督官庁、あるいは同業他社、下請負者、労働法の専門家、そして地域社会などさまざまな個人または組織が該当します。その中でも、「ある決定事項もしくは活動に影響を与え得るか、その影響を受け得るか、またはその影響を受けると認識している、個人または組織」と定義されています。

これら利害関係者の認識や価値観といったものを含め、さまざまな要望や要請に応えて行くことが労働安全衛生マネジメントシステム構築に重要であるということです。

では、どのような項目が利害関係者のニーズや期待の例として挙げられるでしょうか。一例ですが、それぞれの例を以下に示します。

・設備が老朽化している、もしくは生産性が低く労働者に負担を強いている

・事業に必要な有資格者が不足している

・管理システムや業務システムの使い勝手が悪い

・平均年齢が高く若年労働差が定着しないため事業の継続性に不安がある

・災害情報管理ができていない、あるいは報告がされていない

・法令情報の収集や周知ができていない

・コンプライアンスに不備がある

・従業員の健康管理が不十分であるため過重労働が発生している

・近隣住民に対する説明不足あるいは地域との交流が皆無

・下請負者或いは委託業者に対する高圧的な依頼が行われている

上記のようなネガティブな課題を解決することが利害関係者のニーズや期待となります。

これによりピックアップされたニーズや期待は、「4.1組織及びその状況の理解」と同じく箇条4.3労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定のベースとなります。従って、利害関係者をあまりにも多く設定してしまうと適用範囲が際限なく広がってしまうこともあります。自社の労働安全衛生マネジメントシステムにおける利害関係者の設定には十分に注意を払う必要があるでしょう。

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