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ISO45001「箇条4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」について

ISO45001における「4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」においては、労働安全衛生マネジメントシステムを確立する上で考慮しなければならない利害関係者や、その利害関係者の要求事項を把握し管理しなければならないと定めています。

そこで今回は「4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」について詳しくご説明しましょう。

箇条「4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」は、前身となるOHSAS18001:2007には記載のなかった内容です。ISO45001になって初めて登場した概念であり、他ISO規格と同様にマネジメントシステムを確立する上での基本的理念にもなる考え方です。

では具体的な条文を見てみましょう。

※『』内は条文の引用

『4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解

組織は,次の事項を決定しなければならない。

a) 働く人に加えて,労働安全衛生マネジメントシステムに関連するその他の利害関係者

b) 働く人及びその他の利害関係者の,関連するニーズ及び期待(すなわち,要求事項)

c) それらのニーズ及び期待のうち,いずれが法的要求事項及びその他の要求事項であり,又は要求事項になる可能性があるか』

短い文章なのでわかりやすいですが、要は利害関係者を定め、そのニーズをマネジメントシステムに反映させなければならないということです。

まず、利害関係者とは何なのかについてご説明します。労働安全衛生に関する利害関係者とは、自社の顧客やエンドユーザー、監督官庁、あるいは同業他社、下請負者、労働法の専門家、そして地域社会などさまざまな個人または組織が該当します。その中でも、「ある決定事項もしくは活動に影響を与え得るか、その影響を受け得るか、またはその影響を受けると認識している、個人または組織」と定義されています。

これら利害関係者の認識や価値観といったものを含め、さまざまな要望や要請に応えて行くことが労働安全衛生マネジメントシステム構築に重要であるということです。

では、どのような項目が利害関係者のニーズや期待の例として挙げられるでしょうか。一例ですが、それぞれの例を以下に示します。

・設備が老朽化している、もしくは生産性が低く労働者に負担を強いている

・事業に必要な有資格者が不足している

・管理システムや業務システムの使い勝手が悪い

・平均年齢が高く若年労働差が定着しないため事業の継続性に不安がある

・災害情報管理ができていない、あるいは報告がされていない

・法令情報の収集や周知ができていない

・コンプライアンスに不備がある

・従業員の健康管理が不十分であるため過重労働が発生している

・近隣住民に対する説明不足あるいは地域との交流が皆無

・下請負者或いは委託業者に対する高圧的な依頼が行われている

上記のようなネガティブな課題を解決することが利害関係者のニーズや期待となります。

これによりピックアップされたニーズや期待は、「4.1組織及びその状況の理解」と同じく箇条4.3労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定のベースとなります。従って、利害関係者をあまりにも多く設定してしまうと適用範囲が際限なく広がってしまうこともあります。自社の労働安全衛生マネジメントシステムにおける利害関係者の設定には十分に注意を払う必要があるでしょう。

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HACCPの7原則とは何か?~重要管理点の設定~

HACCPの7原則とは➀ハザード分析②重要管理点の設定③管理基準の設定④モニタリング方法の設定⑤修正処置の設定⑥検証方法の設定⑦記録の維持管理です。それぞれの原則の内容を正確に理解し、HACCPの導入・管理に活かさなければなりません。

前回のコラムでは①のハザード分析についてご説明しましたが、今回は②の重要管理点の設定について、重要となるポイントを詳しくご説明いたします。

重要管理点の設定はHACCPプランを作成する上で最も重要かつ慎重さを要求される内容です。第1回のコラムでも申し上げた通り、HACCPの「CCP」は重要管理点(Critical Control Point)のことを指しています。つまりHACCPの核となるのがこの重要管理点の設定なのです。

では、重要管理点の設定における要件を3つ挙げておきます。

要件その1:ミスしたら健康的被害を及ぼす不良品ができてしまうポイント

要件その2:連続的もしくは高頻度でモニタリングが必要なポイント

要件その3:自ら管理・制御できるポイント

ではそれぞれの要件における内容について具体例を挙げてご説明します。

◇要件その1:ミスしたら健康的被害を及ぼす不良品ができてしまうポイント

製品出荷時の金属混入など、以降の工程において同様の検査が行われない工程が該当します。製造工程の機械操作や包装時の機械調整などにミスがあると、製品に金属が混入してしまい健康的な被害をもたらす可能性があります。万一出荷時の金属混入を見逃してしまうと取り返しがつかない事態になりかねません。

このように、製品の最終チェック段階など、ミスがあったら健康的被害を及ぼすことになる工程が重要管理点となります。

◇要件その2:連続的もしくは高頻度でモニタリングが必要なポイント

加熱工程のある製品などは、調理温度が低いことによる加熱不足や適切でない保管温度に起因する製品腐敗などのリスクがあります。従って、焼き機や蒸し機といった加熱調理器具の温度モニタリングや加熱時間、保管倉庫の温度管理などが必須。

このように、温度、時間、pH、酸値、糖度、塩分といった製造各工程で数値的に測定できる項目が重要管理点となります。

◇要件その3:自ら管理・制御できるポイント

例えば原材料における農薬混入や違法添加物の使用など、人体に悪影響を及ぼす物質の使用は製造者側で管理・制御できるポイントです。原材料すべてを逐一チェックすることは非効率的ですが、納入業者に規格証明書や公的検査機関による認証を受けてもらうなどの方法で管理可能です。

このように、製造者自らが管理・制御することでコントロール可能な項目が内容も重要管理点となります。

このように、重要管理点の設定は3つの要件を基に抽出します。なお、重要管理点の判定手順(Decision Tree)が日本農林規格協会からリリースされています。この判定手順(Decision Tree)を参照しながら重要管理点を設定すると良いでしょう。

次回は③管理基準の設定について詳しくご説明することにいたします。

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