飲食業界におけるHACCP導入のメリット

2018年7月27日

既に前回の記事でご紹介した通り、HACCP(ハサップ)とは製品の安全性を確保するための衛生管理の手法であり、日本国内でも2020年に向けてHACCPに関するさまざまな取り組みが行われています。

実際、食品製造業界では既に多くの企業がHACCPに基づく衛生管理を行っていますが、飲食業界においてはまだまだこれからといったところ。その理由として、食品製造業界とは異なり飲食業界にとってのHACCP導入のメリットがわかりにくいといった点が挙げられるでしょう。そこで今回は飲食業界がHACCPに基づく衛生管理手法を導入することに対するメリットについて詳しくご説明してみます。

まず、厚生労働省が実施した「HACCPの普及・導入支援のための実態調査について」にて判明したHACCP導入のメリットを見てみましょう。

➀社員の衛生管理に対する意識が向上した:78.2%

②社外に対して自社の衛生管理について根拠を持ってアピールできるようになった:43.1%

③製品に不具合が生じた場合の対応が迅速に行えるようになった:37.7%

④クレーム・事故が減少した:32.3%

⑤ロス率が下がった:10.1%

⑥HACCPを求める事業者(小売業者等)との取引先が増えた:9.7%

⑦生産効率が上がった:9.0%

出典:HACCPの普及・導入支援のための実態調査について

このうち、③⑥⑦については製造業における固有のメリットとなりますが、その他の項目については飲食業界にも当てはまる内容となっています。

つまり、飲食業界におけるHACCP導入のメリットは主に社員の意識改革や社外(お客様)に対するアピールであると言えますね。

では、より具体的にそのメリットを見ていきましょう。

そもそもHACCPは一般的衛生管理の5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)や7S(5S+洗浄・殺菌)を継続的に監視するという内容を含んでいます。つまり、業務効率の向上や食中毒の防止、経費節減など飲食業界においても多くのメリットを享受することができる内容なのです。

ここ数年、いわゆる「バイトテロ」といわれるアルバイトによる非衛生行為により飲食店が廃業に追い込まれる事例が相次いでいます。これはそもそもアルバイトが衛生観念を十分に理解していないという点に原因があります。つまり、何が非衛生的であり、何が食中毒を招くかを理解できていないということ。単に「手を洗いなさい」「アルコールで消毒しなさい」と指導するだけでは十分な理解を得られないのです。

従って、HACCPに基づく体系的な指導や導入後のPDCAをしっかりと行うことで衛生管理を深く理解することが可能となり、アルバイトの「無謀な」行為を防止することが可能となります。

同時に、食中毒発生による営業停止やお客様の被害を未然に防ぐことも可能となります。HACCPに基づく衛生管理手法の導入により、お客様に提供する前に異常に気が付くケースが増え、結果的にこれら異常事態の防止につながるのです。万が一重大な事故が発生した際にも、各作業工程が記録・監視されているために原因追及が素早く行え、再発防止策の立案が容易となります。

規模の大小を問わず、HACCPの導入は衛生管理体制の整備はもとより経営改善の第一歩にもつながります。導入には手間がかかりますが、専門のコンサルタントに相談するなどして本業の支障にならないように導入することも可能。自社のリソースを有効に活用するためにも、HACCPコンサルタントに一度相談してみるとよいでしょう。

Category: ISO