Monthly Archives: 6月 2018

JISQ15001「箇条8.運用」について

前回に引き続きJISQ15001本文に関する注意事項について解説いたします。改訂された2017年版JISQ15001は、HLS(ハイレベルストラクチャー)の採用により本文が他ISO規格と共通の章立てとなり、旧版における本文が付属書扱いとなっていることは前回お伝えいたしました。従って、今回対象となる「箇条8.運用」も他のISO規格とほぼ同じ文面となっており、一部の語句が個人情報保護に関する用語に置き換えられているという感じです。

では具体的に条文を見ておきましょう。
※『』内は条文の引用
『8.1運用の計画及び管理
組織は、個人情報保護要求事項を満たすため、及び6.1で決定した活動を実施するために必要なプロセスを計画し、実施し、かつ管理しなければならない。また組織は、6.2で決定した個人情報保護目的を達成するための計画を実施しなければならない。
組織は、プロセスが計画通りに実施されたという確信を持つために必要な程度の、文書化した情報を保持しなければならない。
組織は、計画した変更を管理し、意図しない変更によって生じた結果をレビューし、必要に応じて、有害な影響を軽減する措置をとらなければならない。
組織は、外部委託したプロセスが決定され、かつ、管理されていることを確実にしなければならない。
8.2個人情報保護リスクアセスメント
組織は、あらかじめ定めた間隔で、または重大な変更が提案されたかもしくは重大な変化が生じた場合に、6.1.2で確立した基準を考慮して、個人情報保護リスクアセスメントを実施しなければならない。
8.3個人情報保護リスク対応
組織は、個人情報保護リスク対応計画を実施しなければならない。
組織は、個人情報保護リスク対応結果の文書化した情報を保持しなければならない。』

HLS(ハイレベルストラクチャー)によって共通化した影響により、具体的な「運用」にはほとんど触れず概念的な表現に終始している印象ですね。またそれぞれの文章も、他のISOにて使われている文章の文言を「個人情報保護」に置換しているだけではないかという感じです。「個人情報保護目的を達成するための計画を実施しなければならない」という文言などは何を言いたいのか頭が混乱してしまいそうです。8.3などはその典型で、対応計画を実施しなければならない、対応結果の文書化した情報を保持しなければならないなどといった、わざわざ条文化するほどでもないと思えるような内容です。
ただし、他の条文と同様に、個人情報保護に関する具体的な運用方法や基準などは付属書Aに記載されています。従って、各担当者においては、本文よりも付属書をじっくりと読み込み理解することが求められますね。付属書Aの「3.4実施及び運用」は非常にボリュームが多く、要配慮の個人情報や個人情報を取得した場合の措置など、実際の運用場面における規定はこちらで条文化されています。旧版の本文に該当する内容となっているため、こちらの方が理解しやすいという担当者も多いことでしょう。
一方、Pマーク担当者が他ISO規格担当者も兼任している場合、今回の改正は非常にわかりやすいものになったということもできます。他ISO規格条文と共通項が多く、文書化する内容などもある程度定型化できるため社内リソースの削減にもつながりますね。

Category: ISO

HACCPの義務化について

食品製造業にとって食品衛生管理は最も重要な項目です。最近では、これからご説明するHACCP(ハサップ:Hazard Analysis and Critical Control Point)やISO/FSSC22000などを認証する企業が先進国を中心に世界的に増えています。日本でも、東京オリンピック・パラリンピックに向けてHACCP義務化を目標としています。

■HACCPとは?

HACCP(ハサップ:Hazard Analysis and Critical Control Point)は、食品の製造において、原材料の受け入れから、製品が出来あがり、出荷されるまでのあらゆる工程のなかで、微生物による汚染や異物の混入などの危害を予測し、危害の防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録する衛生管理のシステムのことです。 日本では「危害要因分析にもとづく重要管理点」と訳されます。

■HACCPの義務化について

食品の衛生管理へのHACCPの導入については、平成5年に、国連の食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関であり、食品の国際規格を定める「コーデックス委員会」においてガイドラインが示されてから早くも20年以上が経過しました。

HACCPは、先進国を中心に義務化が進められてきており、HACCPによる衛生管理は、日本から輸出する食品の要件にされるなど、今や国際標準となっています。

現在国内では食品製造業を中心として、すでに導入している企業がありますが、飲食事業においてはまだまだなのが現状です。米国やEUでは、飲食事業も含め、食品を取り扱う事業者全てに対して義務化されています。国内でも国際標準化を目指して、全ての食品取り扱い事業者に対して義務化されることが決まっています。

■日本のHACCP義務化はいつから?
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて食の安全をアピールするためにも、国際的に信用される衛生管理への転換が急務となっています。
HACCPの義務化は、現時点では2020年の東京オリンピック・パラリンピックの頃までの制度化が目指されています。従来HACCPを導入していなかった事業者や、導入していても徹底しきれていない事業者は、それまでにしっかりと準備を進める必要があります。

■HACCP義務化の具体的内容
義務化に際しての詳細な法令制定・改正内容は現時点では未定ですが、基本的な考え方や方向性としては以下のことが決まっています。
1.「一般的衛生管理プログラム」の着実な実施が必須
HACCPを導入する際の前提として、まずは衛生管理の基本、つまり、施設設備の衛生管理、食品取り扱い者の健康・衛生管理などの「一般的衛生管理プログラム」を着実に実施することが必須となります。その上でHACCPによる衛生管理手法を適用することになります。
2.「衛生管理計画」の作成が必須
全ての食品事業者は「衛生管理計画」の作成が必須となります。衛生管理計画は、食品などの製造・加工・調理などを行う施設ごとに、一般的衛生管理プログラムとHACCPによる衛生管理について作成します。
3.衛生管理計画書の作成基準は業種によって大きく2種類
衛生管理計画書を作成するにあたっては、業種によって「基準A」と「基準B」の2種類の作成基準が設けられます。基準Aは主に食品製造事業を対象としています。基準Bは、HACCP7原則に基づく衛生管理が容易ではないか、あるいは必要ではない小規模事業者や飲食事業者などのためのものです。

《基準Bの対象事業者》
●小規模事業者

●当該店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理施設

例)菓子製造販売業、食肉販売業、魚介類販売業、豆腐製造販売業、弁当調理販売業等

●提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種
例)飲食店、給食施設、総菜製造業、弁当製造業等

●一般衛生管理による管理で対応が可能な業種
例)包装食品の販売業、食品の保管業、食品の運搬業等

■日本の現状

日本では、食肉や水産食品などについて加熱の温度や時間などの「製造基準」が定められているものの、その基準が守られているかのチェック方法までは決めていません。安全性の確認は、食品衛生法が事業者に義務付けている一部製品の抜き取り検査に頼っていました。

また、原材料の入手を輸入に頼ることが多い日本では、異物混入などによる事故が起こった際に原因の特定に結び付きにくいことがあります。こうした事態にもHACCPは有効に働くとされています。 弊社では、HACCP導入に伴うあらゆるコンサルティング、導入後の運用指導が可能です。どんなに些細な疑問点であっても、お気軽にご質問ください。

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