8.2緊急事態への準備及び対応 潜在的な緊急事態に対する要求事項とは?

2018年4月17日

改訂された2015年版ISO14001「8.2緊急事態への準備及び対応」では、「6.1.1一般」において特定された潜在的な緊急事態及び事故に対する準備や対応について規定されています。
この「6.1.1一般」ですが、緊急事態として火災や人災、事故による大気や河川への有害物質の漏えいなどといった環境に影響を与える可能性のある潜在的な事態が項目として挙げられています。つまり、これらの緊急事態にどのように準備し対応するかを具体的に規定しているということです。なお、2004年版では「4.4.7 緊急事態への準備及び対応」として規定されていましたが、今回の改訂でより具体的な対応が求められるようになっています。では実際の条文を見ていきましょう。

※以下『』内は条文引用
『8.2「緊急事態への準備及び対応」
組織は、6.1.1で特定した潜在的な緊急事態への準備及び対応のために必要なプロセスを確立し、実施し、維持しなければならない。
組織は次の事項を行わなければならない。
a) 緊急事態からの有害な環境影響を防止又は緩和するための処置を計画することによって、対応を準備する。
b) 顕在した緊急事態に対応する。
c) 緊急事態及びその潜在的な環境影響の大きさに応じて、緊急事態による結果を防止するための処置をとる。
d) 実行可能な場合には、計画した対応処置を定期的にテストする。
e) 定期的に、また特に緊急事態の発生又はテストの後には、プロセス及び計画した対応処置をレビューし、改訂する。
f) 必要に応じて、緊急事態への準備及び対応についての関連する情報及び教育訓練を、組織の管理下で働く人々を含む関連する利害関係者に提供する。
組織は、プロセスが計画通りに実施されるという確信をもつために必要な程度の、文書化した情報を維持しなければならない。』

このように2015年版のISO14001ではa)~f)までの6項目にわたり具体的な対策を「行わなければならない」と記されています。これらの項目について、大きな観点で見れば2004年版とさほど変わりはありません。しかし、対策を具体的に踏み込んで記載している点にご注意ください。その内容は至って常識的ではありますが、これらの内容を形骸化させず組織として順守するためには並大抵ではない労力や注意が必要であることもお分かりいただけるでしょう。
なお、事故や人災に起因する緊急事態は、d)の項目に当てはめてみると「実行可能」なテストには該当しないでしょう。故意に事故や人災を発生させて環境汚染を引き起こすことは倫理的に不可能であると考えられるからです。しかし、万が一事故や人災が発生し、計画していた対策が機能しなかった場合の責任は重大です。この点に留意し、可能な範囲で実証実験などを行い定期的なテスト及びレビューを繰り返すことが、規定を形骸化させない重要なポイントになると思われます。
また、緊急事態への対応プロセスについては必ず現場の意見を取り入れることが求められます。ISO担当者だけで作成されたプロセスでは実際の運用上で課題が残るケースが散見されます。必ず現場のプロセス及び第三者機関によるチェックなども行う必要があるでしょう。
いずれにせよ、万が一の緊急事態は企業の命運を左右しかねない事態へと発展することがあります。念には念を入れ、準備及び対応をしっかりと見直すいい機会ではないでしょうか。

Category: ISO