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4.1 組織及びその状況の理解 外部・内部の課題を把握しレビューする

改訂されたISO90012015年版について、前回大まかな改定ポイントをご説明しました。今回からはそれぞれの細分箇条における改定ポイントや注意点などを具体的に見ていこうと思います。まずは「4.1 組織及びその状況の理解」です。箇条4は細分箇条4.14.4に分かれており、適切な品質マネジメントシステムとそのプロセスを決定するための一連の活動の要素として規定されています。

2008年版においては、要求事項の最初として「4.1 品質マネジメントシステムの確立と維持に関する要求事項」が規定されていましたが、この項目が2015年版では「4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス」となっています。つまり、2015年版では品質マネジメントシステム実践の前段として、今回ご説明する組織の状況の理解や把握などを行わなければならないとされているのです。逆に言えば、組織の状況の理解や把握などを行わずいきなり品質マネジメントシステムの構築に入ることによるISOの形骸化を防止していることにもなります。

では、その細分箇条4.1 組織及びその状況の理解を詳しく見ていきましょう。条文は以下の通りです。

 

4.1 組轍及びその状況の理解

組織は、組織の目的及び戦略的な方向性に関連し、かつ、その品質マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を明確にしなければならない。

組織は、これら外部及び内部の課題に関する情報を監視し、レビューしなければならない。

※注記1 課題には,検討の対象となる,好ましい要因又は状態,及び、好ましくない要因又は状態が含まれ得る。

※注記2 外部の状況の理解は、外部の状況の理解は,国際,国内,地方又は地域を問わず,法令,技術,競争,市場,文化,社会及び経済の環境から生じる課題を検討することによって容易になる。

※注記3 内部の状況の理解は,組織の価値観,文化,知識及びパフォーマンスに関する課題を考えることによって容易になる。

 

4.1組織及びその状況の理解」で規定されているのは、主に品質マネジメントシステムの意図した結果を達成するために、その前提条件となる外部及び内部の課題を決定するということです

ここでいう、外部及び内部の課題とはどういうものでしょうか?一般的な解釈としては以下のようになります。

◇外部課題とは?

事業主体者を取り巻く外的な課題のこと。例えば顧客要求(品質・価格・納期など)の変化、競合する他社の動向、関連する各種法規制の変化、天災などの不慮の事象、社会情勢の変化、市場や経済的な各環境の変化など

◇内部課題とは?

人、資本、設備、材料、組織の理念、文化、知識、業績、協力会社の経営状況(及び協力会社に対する事業主体者からの要望・課題)、現場の作業環境、情報などの今後の見通し、変化を踏まえた懸念材料や課題など

 

このように、これら外部・内部環境の課題を抽出することがまずは品質マネジメントシステム構築のスタートラインと位置付けています。

ただし、外部・内部環境は時間の流れとともに徐々に変化していきます。企業においては、外部・内部環境の課題を抽出した後も常にレビューの機会を設け、品質マネジメントシステムに必要な改善のための変更を行うことを意識しなければなりません。

 

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7.4コミュニケーション 外部及び内部との適切な関係性の構築

2015年版ISO14001における「7.4コミュニケーション」は、旧ISO2004年版では「4.4.3コミュニケーション」に該当していた内容です。2004年版の内容をより具体的に現場レベルまで落とし込み、内部・外部それぞれに対して適切なコミュニケーションを図ることが大切であるという内容に変更されています。そのため、条文も長くなり、必要なプロセスも具体的に明示される形となりました。すなわち、EMS活動においてコミュニケーションの重要性がさらに増したと解釈することができます。

では、2015年版の条文を見てみましょう。

 

7.4.1 一般

組織は,次の事項を含む,環境マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションに必要なプロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。

a) コミュニケーションの内容

b) コミュニケーションの実施時期

c) コミュニケーションの対象者

d) コミュニケーションの方法

コミュニケーションプロセスを確立するとき,組織は,次の事項を行わなければならない。

- 順守義務を考慮に入れる。

- 伝達される環境情報が,環境マネジメントシステムにおいて作成される情報と整合し,信頼性があることを確実にする。

組織は,環境マネジメントシステムについての関連するコミュニケーションに対応しなければならない。

組織は,必要に応じて,コミュニケーションの証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

7.4.2 内部コミュニケーション

組織は,次の事項を行わなければならない。

a) 必要に応じて,環境マネジメントシステムの変更を含め,環境マネジメントシステムに関連する情報について,組織の種々の階層及び機能間で内部コミュニケーションを行う。

b) コミュニケーションプロセスが,組織の管理下で働く人々の継続的改善への寄与を可能にすることを確実にする。

7.4.3 外部コミュニケーション

組織は,コミュニケーションプロセスによって確立したとおりに,かつ,順守義務による要求に従って,環境マネジメントシステムに関連する情報について外部コミュニケーションを行わなければならない。

 

 

このように、まず7.4.1として一般的なコミュニケーションについて述べた後、7.4.2で内部について、7.4.3で外部についてのコミュニケーションをそれぞれ明示している点が特徴です。ではそれぞれの細分箇条について簡単に解説していきます。

まず「7.4.1一般」ですが、必要なプロセスとして具体的に4つの項目を明示しています。これは2004年版ではなかった部分です。というのも、2004年版では外部の利害関係者とのコミュニケーションについて文書化することが重要であると位置づけていたのですが、文書化することで安心してしまいコミュニケーションが形骸化してしまう事業者が少なくなかったことから、文書化に重きを置くのではなく「何について」規定するのかを重視した結果です。コミュニケーションに関するプロセスが不明確な組織においては、一度この4つの項目に沿った見直しが必要であると言えます。

7.4.2内部コミュニケーションでは会社の方針や目標、各種ルールの伝達や周知などがどのようになされているかを把握する必要があります。文書レベルのものだけでなく、電子メールやグループウェアなどもこれに含まることが求められるでしょう。こちろん、これら対象となるコミュニケーション手段上でやり取りされる内容は、環境マネジメントシステムにおいて作成される情報と整合していなければなりません。

7.4.3外部コミュニケーションでは、外部とのコミュニケーションをいかにして図るかを規定しています。「7.3認識」において外部スタッフや外部事業者も範囲に含めていることを述べた通り、2015年版では外部との連携が非常に重要視されています。2004年版ではさほど重要視されていなかった内容であるだけに、外部コミュニケーションを疎かにしている企業は少なくありません。今一度自社の外部コミュニケーションのあり方を見直し、対応手順を今一度整備しなおす必要があると言えるでしょう。

 

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