Monthly Archives: 12月 2017

ISO 9001改定のポイント

ISO14001と並び国際的な規格であるISO9001環境マネジメントに関する規格であるISO14001とは異なりISO9001は主に製品やサービスの品質を保証するための

マネジメントシステムです。

このISO9001においても、2015年に大幅な改訂が行われました。改訂された主なポイントを順にみていきましょう。

 

1)規格要求事項の細分化

ISO90012008年版では以下4章~8章までの章立てで条文が構成されていました。

4章:品質マネジメントシステム

5章:経営者の責任

6章:資源の運用管理

7章:製品実現

8章:測定、分析及び改善

 

これが、2015年版では以下のように4章~10章までの章立てに変更されています。

4:組織の状況

5:リーダーシップ

6:品質マネジメントシステムに関する計画

7:支援

8:運用

9:パフォーマンス評価

10:改善

 

このように各章のタイトルだけでなく、その構成要素までも大きく変更されています。このような章立てとなった理由ですが、ISO全体における統合化の流れが大きく関与しています。ISO9001の持つ品質マネジメントシステムという考え方をさらに拡大し、環境活動や労働安全など事業を運営していく上で必要となるすべてのマネジメントシステムを共通の仕組みにまとめていくという発想が根底にあるのです。

 

2)用語の変更

2015年版では条文に使用される用語も大きく変更されています

その一例を以下に記します。

製品 → 製品およびサービス

文書・記録 → 文書化した情報

作業環境 → プロセスの運用に関する環境

購買製品 → 外部から提供される製品およびサービス

供給者 → 外部提供者

 

これらの変更は主にISO9001に伴う活動をより実態に合わせた活動へと昇華させるために変更されたと考えられます。前回の改訂において、製造業でなくサービス業などでも利用できるように細かな変更がなされていましたが、プロセスの妥当性確認や設計開発といった製造業以外ではイメージしにくい文言が多く含まれていたため、受け取り方によって解釈が異なっていたものを修正したと言えますさまざまな業種に適用できるように汎用性を持たせた改訂ですね。

 

3) トップマネジメントの強化

ISO9001が掲げる品質マネジメントシステムの構築運用にあたって、これまで以上にトップマネジメントの強化が打ち出されました。2008年版では5つのコミットメントであったものが、2015版では11個のコミットメントと増加しており、よりトップマネジメントの重要性が強調されたと言えます。

 

4) 「適用除外」という記載

品質マネジメントシステムの適用範囲の決定において、適用除外と言う概念が無くなりました。つまり、すべての事業活動において品質マネジメントを担保しなければならないのです。なお、万が一適用できない場合においては、その除外が悪影響を及ぼさない理由を文書化する必要があることが明記されています。

 

このようにいくつかの大きな改訂を含め、2015年版はより実態に即した細かな改訂がいくつも行われています。

今回は2015年の改訂に関する全体的な概要をご説明しました。なお、それぞれの細かな改訂か所と注意事項については次回以降細かくご説明していこうと思います。

Category: ISO

7.3認識 自社スタッフと外部要因に要求事項を認識させる

2015年版ISO14001における「7.3認識」は、旧ISO2004年版では「4.4.2力量・教育訓練及び自覚」に該当していた内容です。条文に大きな変更はりませんが、言い回しが若干変更されており、それに伴って条文解釈の範囲や意識づけを再認識する必要があります。

そのもっとも最たる部分が、7.3認識の条文の中の最初の1文となります。

では、具体的に「7.3認識」の条文を見てみましょう。

 

組織は組織に管理下で働く人々が次の事項に関して認識を持つことを確実にしなければならない。

a)環境方針

b)自らの業務に関係する著しい環境側面及びそれに伴う顕在するまたは潜在的な環境影響

c)環境パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む、環境マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献

d)組織の順守義務を満たさないことを含む、環境マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味

 

2004年版では、最初の文はこのようになっていました。

 

組織は組織に管理下で働く人々が次の事項に関して自覚させるための手順を確立し、実施し、維持すること。

 

つまり、2004年版では「手順の確立と実施」に重きが置かれていたのに対し、2015年版では「認識を持つ」ことを重視しています。単に手順を確立するだけでなく、現場のスタッフがしっかりと認識してはじめてEMS活動が成り立つとしているのです。形式主義ではなく実際のパフォーマンスが重要であるということがこの変更からもうかがえますね。

 

また、認識させる対象も、自社の社員だけでなく自社に常駐している外部スタッフ、そして廃棄物処理などを依頼している外部事業者なども範囲に含めている点も見逃せません。自社の業務のために業務を行うすべてのステークホルダーが環境方針を認識し、事業活動の一環として積極的に取り組むべきであると定義しているのです。

 

一方、規格の附属書A.7.3には以下のような記述があります。

 

環境方針の認識を、コミットメントを暗記する必要がある又は組織の管理下で働く人々が文書化した環境方針のコピーをもつ、という意味に捉えないほうがよい。そうではなく、環境方針の存在及びその目的を認識することが望ましく、また、自分の業務が、順守義務を満たす組織の能力にどのように影響を与え得るかということを含め、コミットメントの達成における自らの役割を認識することが望まし

 

このことからも、単に環境方針に関する文書を関係者に配布するだけではダメだということがわかりますね。企業としてしっかりとした注意喚起の仕組みや教育訓練の場を設けEMS活動の順守を現場レベルで確実に浸透させることが求められているのです。

あわせて、万が一規定に違反し事故による環境破壊が行われた場合、会社の社会的信用の失墜を招き、ひいては会社の存続が危ぶまれることまで含めて全員に認識させるべきであると言えるでしょう。

Category: ISO