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6.2環境目標及びそれを達成するための計画策定

2015年版ISO14001にて新たに設けられた6.2環境目標及びそれを達成するための計画策定は、環境方針及び前段の6.1.1「リスク及び機会への取り組み」~6.1.3「順守義務」を考慮し、環境目標の設定と達成計画の策定について規定された内容になります。

旧ISO2004年版においては、4.3.3「目的・目標及び実施計画」に該当する内容となっており、内容そのものに大きな変更点はありません。しかし、細部で若干の変更や文言の追加がなされているためその部分を重点的に見ていきます。

 

2004年版では4.3.3「目的・目標及び実施計画」として1つの細分箇条に収まっていましたが、2015年版の6.2「環境目標及びそれを達成するための計画策定」は、6.2.1「環境目標」と6.2.2「環境目標を達成するための取組みの計画策定」という細分箇条に分かれます。

 

2004年版の条文は以下の通りです。

 

4.3.3 目的,目標及び実施計画 組織は,組織内の関連する部門及び階層で,文書化された環境目的及び目標を設定し,実施し,維持すること。

(中略)

その目的及び目標を設定しレビューするにあたって,組織は,法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項並びに著しい環境側面を考慮に入れること。

(中略)

  1. a) 組織の関連する部門及び階層における,目的及び目標を達成するための責任の明示
  2. b) 目的及び目標達成のための手段及び日程

 

これに対し、2015年版では

 

組織は,組織の著しい環境側面及び関連する順守義務を考慮に入れ,かつ,リスク及び機会を考慮し,関連する機能及び階層において,環境目標を確立しなければならない。

環境目標は,次の事項を満たさなければならない。

  1. a) 環境方針と整合している。
  2. b) (実行可能な場合)測定可能である。
  3. c) 監視する。
  4. d) 伝達する。
  5. e) 必要に応じて,更新する。

 

組織は,環境目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定しなければならない。

 

  1. a) 実施事項
  2. b) 必要な資源
  3. c) 責任者
  4. d) 達成期限
  5. e) 結果の評価方法。これには,測定可能な環境目標の達成に向けた進捗を監視するための指標を含む

 

と、より具体的に項目を挙げて計画策定の内容を明示しています。

また、「リスク及び機会を考慮する」ことが追記されていることがわかります。「組織の著しい環境側面及び関連する順守義務」は「考慮に入れる」という表現であるのに対し、「リスク及び機会」は「考慮する」という表現になっているのは理由があります。

というのも、「考慮に入れる」というのは「必ず考慮しなければならない」ということであり、「考慮する」というのは「考慮した結果含めなくとも構わない」ということになるからです。つまり、組織の著しい環境側面及び関連する順守義務」は従来通り最重要視するかわりに、2015年版で新たに加えられた「リスク及び機会」についてはそこまで重要な意味を持たせていないということですね。

また、環境目標を達成するための取組みについては、企業の事業プロセスにどのように統合するかについてを勘案する必要があることも付け加えられています。EMS活動だけが切り離されて運用されるのではなく、あくまでも事業活動におけるひとつの取り組みとしてEMS活動が運用されることを強調しているということになります。

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6.1.4取組みの計画策定 具体的な取組み方法を決定し周知するために

6.1.4取組みの計画策定は、2015年版ISO14001において新たに設けられた要求事項の一つです。これまでご説明してきた6.1.1「リスク及び機会への取組み」から6.1.3「順守義務」に至る内容を、どのようにしてどのようにして運用するのか、またどのようにして評価するのかを策定することを取り決めた条項になります。

具体的には、1)著しい環境側面、2)順守義務、3)リスク及び機会の3つの側面において、当該組織がしっかりと計画し実践することを求めているという内容になります。

その「6.1.4取組みの計画策定」の条文ですが、

 

組織は、次の事項を計画しなければならない。

  1. a) 次の事項への取組み

1) 著しい環境側面

2) 順守義務

3) 6.1.1 で特定したリスク及び機会

  1. b) 次の事項を行う方法

1) その取組みの環境マネジメントシステムプロセス(6.2、箇条 7、箇条 8及び 9.1 参照)又は他の事業プロセスへの統合及び実施

2) その取組みの有効性の評価(9.1 参照)

これらの取組みを計画するとき、組織は、技術上の選択肢、並びに財務上、運用上及び事業上の要求事項を考慮しなければならない。

 

となっています。条文を見ると、何かしら新たな計画や方法について別途作成しなければならないような文言に見えますが、実際は6.1.1~6.1.3で策定した事項を遵守してくださいと言っているに過ぎないことがわかります。

ただし、このように条文化されたということは、逆に言えばこれまで徹底されていなかったということに他なりません。例えば、組織において課題を抽出し対策方法を定めた際、それがどのように計画されたものであったかが不透明なまま進んでいたということです。従って、計画から評価までの流れをはっきりさせ、計画がどのような評価を得たか、次はどうするのかといった計画から評価までのサイクルをしっかりと回していくことが必要不可欠であると強調しています。

また、箇条6だけでなく、箇条7「支援」、箇条8「運用」、細分箇条9.1「監視・測定・分析・評価」を考慮すべきであることも明記されています。さらに「財務上、運用上及び事業上の要求事項」という文言も含まれているため、通常のEMSサイクル内に留まらず、事業活動全体を俯瞰的に捉えた上で、計画化すべき取組みの交通整理を行うことが必要だと言っているのです。

企業においては、これらの内容を反映させた計画を策定することはもとより、計画倒れに終わることの無いよう評価に至るまでの内容も細部まで定めておくことが必要となります。「その取組みの有効性の評価」という文言が設けられていることからもわかりますが、2015年版の重要なポイントのひとつであるEMS活動全般のPDCAサイクルを重視すべしということです。これまで、計画を定めるだけで終始してしまい、適切な振り返りを行わなかった組織においては、体制の見直しなども含めEMS活動サイクルのPDCAをきちんと回していく体制の構築を求めていると考えてよいでしょう。

 

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