Monthly Archives: 9月 2017

6.1.3順守義務 環境側面に対する順守義務を制定し運用する

順守義務という用語はISO14001の2015年版で初めて登場した言葉です。ただし、その内容は2004年版における「4.3.2 法的及びその他の要求事項」とほぼ同一であり、新たに何を手掛けるという必要はありません。

条文を見てみると、2004年版では

 

4.3.2 法的及びその他の要求事項

組織は、次の事項にかかわる手順を確立し、実施し、維持すること。

a)組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を特定し、参照する。

b)これらの要求事項を組織の環境側面にどのように適用するかを決定する。

組織は、その環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持するうえで、これらの適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を確実に考慮に入れること

 

となっています。一方の2015年版では

 

6.1.3 順守義務

組織は、次の事項を行わなければならない。

a)組織の環境側面に関する順守義務を決定し、参照する。

b)これらの順守義務を組織にどのように適用するかを決定する。

c)環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、継続的に改善するときに、これらの順守義務を考慮に入れる。

組織は、順守義務に関する文書化した情報を維持しなければならない。

 

と、若干表現に違いはあるもののほぼ同じであることがお分かりいただけるでしょう。

細かな言葉の違いや「順守義務」という用語の登場などにより、より強くコンプライアンス意識を持たなければならないという心理的な効果を見込んでいるものと思われます。

その中で大きな変更点と言えば、順守義務が「組織の環境側面」に対する適用であったものが、改訂版では「組織」へ変更された点です。適用される環境側面には組織により違いがあります。つまり、環境側面と環境影響を規定する上で、具体的に組織を対象として考えなければならないということです。

一例として有機溶剤の使用場面を想定してみましょう。会社として使用することを想定していても、どの事業所のどこで有機溶剤が使用されているのかを特定できません。改訂版では、この順守義務がどの部門・工程に適用され、誰が責任もって順守するのかを明確に定める必要があるのです。

もうひとつ、「文書化した情報を維持」する必要があります。これは運用上の課題となりますが、口頭で示すだけでなく、社内でしっかりと文書化し随時閲覧できるように保管しておく必要があります。これは、2015年版ISO14001が環境関連の法規制に関するコンプライアンスマネジメントを確保する仕組みであり続けることを宣言しているからに他なりません。

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6.1.2環境側面 環境と相互に作用する自社の活動やサービスについて規定する

ISO14001の最も基本的な要求事項である環境重点管理項目(著しい環境側面)について規定されているのが「6.1.2 環境側面」の条文です。2004年版のISO14001では「4.3.1 環境側面」として規定されていた部分であり、今回の改定でも大きな変更は加えられていませんが、環境側面の決定については若干の変更を伴っています。

 

「環境側面」という耳慣れない言葉ですが、ISO14001では「環境と相互に作用する、又は相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素」という言い換えを用いています。つまり、事業活動を行う中で環境に影響する原因と結果をしっかりと定義しておく必要があるということです。また、「著しい環境側面」というのは「環境に重大な影響を与える可能性のある事故を含む事業活動全般」と解釈することができます。

変更された内容ですが、

◇環境側面の特定(決定)の際にライフサイクルを考慮すること

◇環境側面の特定(決定)の際に、環境影響も特定(決定)すること

◇環境側面の特定(決定)の際に、非通常の状況を考慮すること

◇環境側面の特定(決定)の際に、予見できる緊急事態を考慮すること

◇著しい環境側面の決定の際に、基準を設定し用いること

◇著しい環境側面の決定後に、必要に応じた著しい環境側面を伝達すること

などが挙げられます。

これら環境側面の特定(決定)及び環境影響の特定(決定)プロセスにおいては、自社の事業活動を棚卸し、環境上の課題を洗い出す必要があります。同時にライフサイクルを考慮するためには、例えば工場であれば原材料の入手から、工場における製品の製造、製品の販売、販売後の製品の廃棄処分といったライフサイクルを視野に入れておかなければなりません。

このように、原材料の仕入れ段階から加工、製造、そして廃棄に至るまでのプロセスにおいて、環境に与える影響を精査し、決定することが第一段階です。2004年度版の時点から先行してライフサイクルを取り入れている企業も多いと思いますが、今後は企業が直接影響を与える範囲だけでなく、企業が影響を及ぼすことができる範囲も含まれてきます。大手企業の場合、サプライチェーンに対する影響を考慮する必要性も生じてくるということです。

次に「非通常の状況」と「予見できる緊急事態」、つまり機械の故障や異常時、あるいは天災や事故などによる環境への影響を考慮する必要があります。

最後に「著しい環境側面の決定」ですが、環境側面に関連する基準として種類や規模、頻度などを設定するとともに、環境影響に関連する基準として規模や深刻度などを規定する必要があります。規格要求を今一度見直した上で、自社の事業活動に適切な基準を定め運用していく必要がありそうです。

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