6.1 新たに定められた規格要求事項とリスク及び機会について

2017年8月22日

2015年の改正で新たに追加された「6.1リスク及び機会への取組み」の冒頭部分である「6.1.1 一般」には、リスク及び機会の決定におけるプロセスの確立や実施、そして維持について定められた内容が記されています。

実はこの6.1.1 一般」は、企業のISO担当者にとって最も悩ましい細分箇条と言われています。というのも、条文内ではリスク及び機会について厳密な定義がなされておらず、非常に自由度の高い解釈が可能であるからです。

 

その条文ですが

6.1.1 品質マネジメントシステムの計画を策定するときには,組織は,4.1項で示された課題、および4.2項で求められた要求事項を考慮し,かつ、次の事項のために取り組むために必要なリスクおよび機会を明らかにしなければならない。

a) 品質マネジメントシステムがその意図した結果を達成できるという確信を与える。

b) 望ましい影響を増大する。

c) 望ましくない影響を防止又は軽減する。

d) 改善を達成する。

と規定されています。

そもそも、ここで言われているリスク及び機会とはどのようなものでしょうか。

一般的にリスクとは企業にとってマイナスの影響を与える要因を意味し、機会は逆にプラスの影響をもたらす要因であると言われています。

もちろん、このような一般的なリスク及び機会はもちろんのこと、環境マネジメントシステム上では次のような事態もリスク及び機会としてとらえる必要があります。

① 気候変動による業績への影響

② 労働者の言葉の壁などに起因する業務手順の理解不足

③ 新技術導入における公的支援制度

④ 経済的な制約などによる環境マネジメントシステムに充当する資源の欠如

このように非常に幅広い内容を網羅する必要があるという解釈も可能であるため、前述の通り悩ましい思いをせざるを得ない状況というわけです。

さらに、ここでの決定は後段の「6.1.2 環境側面」~「6.1.4 取組測定」へとつながる要求事項となっているため、多方面からの観点で議論し策定することが求められます。

また、潜在的な緊急事態を決定することも定められています。これは2004年版の「4.4.7 緊急事態への準備及び対応」に該当する部分です。例えば可燃性液体や貯蔵タンクなどの環境ハザードの要因となるもの、あるいは隣接した施設における緊急事態などがこれに該当します。つまり、これらの緊急事態についても同様に計画あるいは予測しておく必要があるのです。

 

具体的な企業側の取り組みとしてまず優先すべきは、取り組む必要があるリスク及び機会の決定作業となります。既に毎年CSRレポートなどを作成している企業の場合、ステークホルダーなどの声を踏まえてこれらの作業を行っているケースもあります。また、経営戦略や中長期計画などにリスクや機会を明記しているケースもあるでしょう。

こうした資料を掘り起し、加えて自社の経営に関するSWOT分析などを取り入れつつISO14001に準拠したマニュアルへと落とし込んでいく作業が必要です。

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