5.3 実態に即した組織の役割と責任が求められる

2017年8月22日

2015年に改正されたISO14001内では、「5.3 組織の役割,責任及び権限」において環境マネジメントシステムを自社にて効果的に運用するための責任及び権限について規定されています。

2004年版からの大きな変更点は、「環境管理責任者」という固有名詞が削除されたこと。一見後ろ向きの改定に思われますが、この名称削除には実態に即していない「名ばかり環境管理責任者」が横行していたという背景があります。

 

その話をする前に、基本的な事項である改正後の条文に注目してみましょう。

条文では、「5.3 組織の役割,責任及び権限」として、

トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達することを確実にしなければならない。

 トップマネジメントは、次の事項に対して、責任及び権限を割り当てなければならない。

  1. a) 環境マネジメントシステムが、この国際規格の要求事項に適合することを確実にする。
  2. b) 環境パフォーマンスを含む環境マネジメントシステムのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する。

と定めています。

これは2004年度版の4.4.1に相当する内容です。2004年度版では、上記に加えて特定の管理責任者を任命することを要求していました。つまり、これまではすべてのISO14001認証企業において、環境管理責任者を選任しその任に当たらせることを求めていたのです。

その結果どうなったか、というと、多くの企業で現場の業務を知らずに責任ばかりを持たされる環境管理責任者が選定され、制度が形骸化するようになったのです。

例えばある企業では、環境マニュアル上において本社の総務局長が環境管理責任者と位置付けられていました。しかし、実際の業務における環境管理の指揮命令系統は、会社のトップと各工場長によって構成されており、総務部長はオブザーバー的な位置づけでした。マニュアル上の責任者である総務部長は、実は環境に関しては何の権限も持たない立場だったのです。このように、「制度上必要だから」という理由で実態に即さない環境管理責任者の配置が問題視されており、今回の改定によりその問題点の改善策が反映されたとみるべきでしょう。

今回の改定では環境管理責任者の任命は必須事項ではなくなりました。その代わりに実態に即した組織の役割と責任がより一層求められることとなったのです。

 

具体的に各企業において留意すべき内容を以下ご説明します。前回のトップマネジメントの回でもご説明した通り、環境マニュアル作成時に

① 環境組織図

② 管理責任者の役割

③ 内部監査責任者の役割

④ 部門長の役割

⑤ 従業員の役割

を明確に規定することが必要です。

また、実際の指揮命令系統上に環境管理責任者を選任し、各組織や社員の役割と責任を遂行する旗振り役として機能してもらうことも大切です。

その際、環境マネジメントシステムがISO14001の規格要求事項に適合することを確実にすることや、環境マネジメントシステムのパフォーマンスをトップマネジメントに報告することを各階層に義務付ける必要もあります。トップマネジメントとしても、環境管理責任者に丸投げするのではなく、責任を持って環境マネジメントシステムの運用に携わることが必要であるということです。

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