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4.4「環境マネジメントシステム」

ISO14001:2015 4.4「環境マネジメントシステム」について勉強する機会がありましたので報告します。

こちらは、規格の総論を規定したものです。

「環境パフォーマンスの向上を含む意図した成果を達成するため、組織は、この規格の要求事項に従って、必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む、環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、かつ、継続的に改善しなければならない。

環境マネジメントシステムを確立し維持するとき、組織は4.1及び4.2で得た知識を考慮しなければならない」

と条文にありますが、これはISO14001:2004では「4.1一般要求事項」に該当していたものです。

「環境パフォーマンスの向上」が明記されるようになっているそうです。したがって、環境パフォーマンスを意識したシステムの構築、運用が必要になります。

「4.1外部及び内部の課題」、「4.2利害関係者とそのニーズ及び期待」を踏まえ、自社の課題や自社に求められることをしっかりと認識し、環境マネジメントシステムを構築することが求められています。

すなわち、組織を取り巻く環境に合致し、かつISO14001:2015の規格要求事項に適合した、環境マネジメントシステムのPDCAサイクルを確立し、運用することを意図しています。

環境マネジメントシステムのPDCAモデルとはどういうことなのでしょうか?

ISO14001:2015の序文0.4「Plan-Do-Check-Actモデル」では、環境マネジメントシステムの根底にあるアプローチの基礎は、Plan-Do-Check-Act(PDCA)という概念に基づいているとしています。PDCAモデルは、継続的改善を達成するために組織が用いる反復的なプロセスを示していると説明しています。
なお、その環境マネジメントシステムにおけるPDCAモデルは、以下の要素とされているそうです。

Plan
組織の環境方針に沿った結果を出すために必要な環境目標及びプロセスを確立すること

Do
計画通りにプロセスを実施すること

Check
コミットメントを含む環境方針、環境目標及び運用基準に照らして、プロセスを監視し、測定し、その結果を報告すること

Act
継続的に改善するための処置をとること

このPDCAサイクルのそれぞれはどの要求事項に基づくのでしょうか。

Plan
箇条4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定
4.4 環境マネジメントシステム

箇条5 リーダシップ
5.1 リーダーシップ及びコミットメント
5.2 環境方針
5.3 組織の役割、責任及び権限

箇条6 計画
6.1 リスク及び機会への取組み
6.2 環境目標及びそれを達成するための計画策定

箇条7 支援
7.1 資源
7.2 力量
7.3 認識
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化した情報

Do
箇条8 運用
8.1 運用の計画及び管理
8.2 緊急事態への準備及び対応

Check
箇条9 パフォーマンス評価
9.1 監視、測定、分析及び評価
9.2 内部監査
9.3 マネジメントレビュー

Act
箇条10 改善
10.1 一般
10.2 不適合及び是正処置
10.3 継続的改善

すなわち、Plan(計画)のところに、これまで勉強会で学んできた箇条4 組織の状況に加え、「箇条5 リーダシップ」、「箇条6 計画」、「箇条7 支援」が当てはまるということですね。
そしてDo(実行)には、「箇条8 運用」、Check(確認)には「箇条9 パフォーマンス評価」、Act(見直し)には「箇条10 改善」があてはまります。

「箇条5 リーダーシップ」に関しては次の勉強会で学びますのでまた報告いたします。

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4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定

4.3「環境マネジメントシステムの適用範囲の決定」は、これから構築し、導入する環境マネジメントシステムの適用範囲を、必要なインプットに基づき決定することを要求しています

「組織は、環境マネジメントシステムの適用範囲を定めるために、その境界及び適用可能性を決定しなければならない。

この適用範囲を決定するとき、組織は、次の事項を考慮しなければならない。
a)4.1に規定する外部及び内部の課題
b)4.2に規定する順守義務
c)組織の単位、機能及び物理的境界
d)組織の活動、製品及びサービス
e)管理し影響を及ぼす、組織の権限及び能力

適用範囲が定まれば、その適用範囲の中にある組織の全ての活動、製品及びサービスは、環境マネジメントシステムに含まれている必要がある。

環境マネジメントシステムの適用範囲は、文書化した情報として維持しなければならず、かつ、利害関係者がこれを入手できるようにしなければならない。」

と条項にありますが、これは、ISO14001:2004であれば、「4.1一般要求事項」に該当していたことです。

「適用範囲」つまり「ISO14001」を、どのサイトまで適用させるのか、ということが問われており、どういった企業活動、製品・サービスまでを対象にするかは、自社で決めることになっています。

※ここで「サイト」とは、元来の意味での「敷地」「用地」のことをさすそうです。

これまでは、自社の都合のみを考えて、適用範囲を決めていた事業所も、2015年版では、上記のa)~e)の5項目を考慮したうえで決定することが求められているのです。

これまで適用範囲を決めている事業所がそれを変更する必要はないのですが、「課題」「順守義務があるもの」「サイト」「活動・製品」についてはそれぞれ、適用範囲を決定していると明確にしておく必要があると思います。

適用範囲を決めたら、その範囲内にある特定の活動や製品を、自社の勝手な都合で除外することはできません。

「利害関係者が入手できる」ようにしておくのは、2004年版では環境方針のみでした。しかし、2015年版ではこれに「適用範囲」が追加されたということになります。
会社案内などに環境方針を掲載されている事業所様は、適用範囲も併記しておくとよいと思います。

「チェリーピッキング」という言葉があるそうです。
たくさんあるサクランボの中から、おいしそうなサクランボばかりをつまみ食いすることにちなみ、都合のよいことだけを取り上げることを指すのだそうです。

わかりやすい事例として、環境負荷の高い工場や業務を除外し、総務や経理業務、商品企画や商品提案、設計・開発行為がない営業業務など環境負荷が低い事務所や業務のみを対象にして、環境マネジメントシステムを構築し、第三者認証や自己宣言をして、あたかも「組織全体で環境活動を推進している」ような印象を外部に与えることが挙げられると思います。

こうした「都合の良いことだけを取り上げる」のではなく、規格の趣旨をよく理解したうえで、適用範囲の検討を行うことが求められるのです。

今回も勉強になりました。

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